板書例と、解説内容

豊かな人生を求めて アリストテレス


○古代ギリシャの思想家は、どのような生き方を求めたのだろうか

【イデア論批判】 教科書P.251
 Q アリストテレスとプラトンの違いは、、、
 Q 形相と質料の関係は

アリストテレス・・・アカメディア(プラトンが創立した)で学んだ
 アリストテレスは、経験と観察を重んじた (プラトンは、見た感覚より、イデア=真の実在)
↓
現実主義的な思想  ( プラトンは、理想主義 )
↓
机の本質は、机のイデアではなく、この机に内在している
形相(エイドス)・・・事物に内在する本質

素材となる質料(ヒュレー)に形相が形を与えること→個々の事物が形成される
 形相は、事物の中に可能性としてひそんでいる
 人間の活動や自然の運動によって現実化する

例
大理石(質料)から、形相を引き出す営み= 彫刻家が大理石の像を造る
卵(質料)が可能性として含んでいた鳥の形相が現実化する自然の運動 = 鳥の卵が鳥になる
↓
動的にとらえた、目的論的自然観 ・・・自然の運動も形相の実現を目指す目的をもつ

 Q 徳と中庸
 Q アリストテレスは、幸福をどのように考えたか? 

 アリストテレスも、徳を魂のすぐれたあり方と考えた

最高善=真の幸福 ・・・徳をもつことが最高善への道

 アリストテレスは、徳を二つに区別した
 ↓
@知性的徳
・知恵・・・真理を認識する徳
・思慮・・・行為にかかわる正しい行動に関する知(徳)
A性格的徳(倫理的徳・習性的徳)・・・@の徳が習慣化することで備わる

観想的生活(テオーリア的生活)・・・最高の幸福は、知恵に基づき、真理の認識を楽しむこと

エトス(習慣) 人間は、感情や欲望に左右されやすく、善い行ないをするには困難
  なので、知性的徳に基づく正しい行為を反復して、エトス化する必要がある
性格的徳=エトスによって性格(エートス)にまでなった徳
中庸=適度な中間(過多と不足の両極端を避ける)
中庸を選べる=正しい思慮を習性とすること
 → アリストテレスの中庸 (教科書P.251 上にある )
   「勇気」は、過度の「無謀」と、不足の「臆病」との中庸を選べる性格的徳である。
   「節制」は、放縦と鈍感の中庸
  放縦・・・感情を全く抑えない状態
  節制・・・適度
  鈍感・・・感情を抑えすぎて、なにも感じないこと
 
  Q 正義と友愛
  Q 人間はポリス的動物である」とは
「人間はポリス的動物である」・・・ ポリスの中で他の人間とともに生きる存在
   ポリスで生きることが本来だ
正義と友愛(フィリア) ・・・アリストテレスは、性格的徳の中でも、ポリスでの共同生活に
   欠かせないものとして重視した

 正義は、次のように大別できる

@全体的正義・・・法を守るという正義
A部分的正義・・・人々の間に公正をもたらすという正義
 
 部分的正義は、つぎのように分けられる
@配分的正義・・・名誉や報酬を各人の能力やはたらきに比例して与える場合の正義
A調整的正義・・・裁判や取引などで各人の利害・得失が均等になるように調整する場合の正義

友愛= 互いの幸福を願い、よりすぐれた人になろうとする相互的な愛
「真の友愛があれば、正義は不要」 → 友愛による人々の結びつきを重視


国制の分類(アリストテレス)    国制 = 国家の政治形態
よい国家=全体の幸福を目指すもの

・王制(一人のすぐれた者が統治する)→ 独裁制(僭主制)になる
・貴族制(小数のすぐれた者による政治形態) → 少数の富裕者による寡頭制
・民主制(共和制:市民全員による) → 愚かな大衆による衆愚制に堕落する